筆者が美術、とくに絵画が好きなこともあり、
2023年2月に発売された図鑑「はじめての絵画」を購入しました。
いずれ、子どもも勝手に手に取ってくれたらうれしいとの思いです。
美術鑑賞というと
「敷居が高い」
「知識がないと良くわからない」
と思ってしまいますよね。私もそうでした。
しかし、少し美術鑑賞を知ると
これらは誤りで、知識なんて必要ではないとわかりました。
例えばこの絵
絵から何が見えますか?
女性は浮かない表情をしていますね。
隣の男性は、女性と目を合わせるわけでもなく、遠くを見ています。
2人の背面、ソファの上方には鏡があり、ガラス越しに外が見えるようです。つまり、この男性は外を眺めているようです。
二人は、他人でしょうか?それとも夫婦やカップルだったりするのでしょうか?
同じテーブルに揃って座っていますので、他人というより何等かの関係があるとうかがえます。
また、二人とも、決して明るくない表情をしているように見えますね。
カフェにいる男女を描くのであれば、楽しそうに談笑する男女を描くことも出来たはずです。
それをあえて「浮かない顔」の男女を描いた。作者は何を伝えようと思ったのでしょうかね。
テーブルの上の飲み物や、着用している洋服はどうでしょうか?
例えば、高級な飲み物・服だと二人はそれなりの階級の人と思われますし、安い飲み物・服だとあまり高い階級の人ではなさそうです。
こんな具合に観察していくと
だんだん「作者はこんなことを伝えようとしたのかな」と思えてきます。
※絵はエドガー・ドガ「カフェにて」(オルセー美術館蔵)
美術の楽しみ方:①観る! ②知る!
かつて絵は、歴史を後世に伝える重要な手段でした。
現代は文字や写真・映像で物事を詳しく記録し、また意見を表明することができます。
しかし、過去は識字率が現在ほど高くなく、絵画は意見表明する重要な手段の1つであったと考えられます。Twitterで140字で「アレはこうだよね」と、文字で意見表明する手段はなかったのです。
そこで、絵画が意見表明の手段の一翼を担っていたわけです。
もちろん、絵画には作者が存在し
作者にはその絵を描いた「意図」があります。
しかし、美術鑑賞を楽しむ観点からは、作者の意図は「後回し」でいいと思っています。
日の出か日没か
例えばこの富士山の写真。日の出か日没か、どちらかわかりますか?
富士山の構図に詳しい方は、富士山の写り方と太陽の位置関係から、どちらなのか分かるかもしれません。
でも、それよりも先に写真を見て思うことがありますよね。
「きれいだな~」
「空の色がグラデーションになってる!!」
「雲海になっていて幻想的」
絵画鑑賞もこれで良いんですよね。
そのうえで、さらに知りたければ詳しい解説を読んで
「ここは、こういうことを表したかったんだ!!」と気付きを得れば良いのです。
初めから「この写真が日の出か日没かが分からないから観ない」なんて、勿体ないですよね?
小学館の図鑑「はじめての絵画」
改めて買ったのはこちら。小学館の図鑑 NEOアート「はじめての絵画」。
この本の冒頭7ページ目に、美術鑑賞で一番大切なことが書いてあります。
(略)
小学館の図鑑 NEOアート「【図解】はじめての絵画」小学館(2023)
しかし、この絵を鑑賞するために、あらかじめ大昔の絵であることを知っておく必要はありません。絵を描いた人や絵の題名などの知識を得るよりも、まず自分自身の目で絵を見るという経験をすることのほうが、ずっと大切なのです。
絵を見て、自分なりの感想や考えを持つこと。その次に絵についての知識を得て、理解を深めること。それこそが、絵を鑑賞するということの基本です。
美術鑑賞、絵画鑑賞は決して「敷居が高い」なんてことはないんですよね。
ぜひ手にとって、自宅に置いてみてください。
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